私が組織作りの土台として使っているのが
チームビルディングSSR理論(以下SSR理論と表記)という考え方です。
これは個人にも、チームや組織にも使える万能な考え方で、 これを使いこなせるようになれば私たちが日々直面する 複雑な問題のほとんどは解決できます。
チームビルディングとは
個人の強みや長所を最大限に活かす組織作り
を指します。
この定義をモデル化したものがチームビルディングSSR理論です。
この3つの要素が循環していくことがチームビルディング、つまり成果の出る組織やチームが作られていくプロセスになります。
人材力は、個人個人の持っている強みや弱み、長所や短所、価値観のことです。
またそれらにつながる思考の特徴や行動の特徴も含まれます。
人材力の例
このような個人が持つ特徴を人材力(strength)と呼んでいます。
長所・短所(思考・行動)
価値観
組織力とは組織が持つ構造を規定するものです。
組織力の例
このように組織を組織たらしめているものを組織力(structure)と呼んでいます。
関係力はコミュニケーションそのものであり、1対1から多対多までを含みます。
ジェスチャーや音声、文章など、リアルタイムであるか否かに関わらず、相互のやり取り全般が関係力に含まれます。
関係力の例
このような相互の何らかの関わりを関係力(relation)と呼んでいます。
今説明した3つの要素の循環を個人で表現すると以下のようになります。
strength
人材力
ある人が自分の強みを活かして
structure
組織力
ビジョンや目標を設定し
relation
関係力
それを達成すべく
周りとコミュニケーションする
strength
人材力
自分の「分かりやすく説明できる」
という強みを活かして
structure
組織力
チームのプレゼン資料完成に
向かって
relation
関係力
情報を集めるために
周りとコミュニケーションをとる
なんとなくイメージできたでしょうか。
次にチームや組織に当てはめると、このようになります。
strength
人材力
それぞれの強みを活かして
structure
組織力
チームや組織のビジョンや
目標を設定し
relation
関係力
それを達成すべく
周りとコミュニケーションする
strength
人材力
今のメンバーのアイデアを出す力や
企画をまとめる力を活かして
structure
組織力
商品サービス企画資料作成と
プレゼンを準備し、
上司の承諾を得るために
relation
関係力
チームの仲間と
コミュニケーションをとる
こうしてモデル化すると、普段会社で起こっていることのほとんどがこの図に当てはめられることが分かると思います。
要するに、経営者や従業員が、この3つが今どういう状態なのかを確認しながら仕事を進めることができれば、
組織の問題は自然と解決していくということなのです。
その問題は本当に
コミュニケーションの問題ですか?
組織の問題をSSR理論に当てはめると、3つの要素のどれか1つが欠けるだけで上手くいかないということが分かります。
この中でコミュニケーションとは関係力です。
言い換えると、3つのうち1つだけがコミュニケーションに関わっているということですね。
だとすると、コミュニケーションの問題は組織の中でも多く見積もって3割程度。
その他は一見コミュニケーションの問題に見えても、本当は人材力や組織力に関する問題なのです。
このように組織やチームが上手くいっていない、人間関係が上手くいっていないというような問題が起きている場合は、この3つの要素を見ればどこを改善すればよいかがすぐに分かります。
研修やコンサルティングを実施する時にはこの3つの何をどのレベルで改善するかを見て、
経営者の相談に乗って頂ければと思います。
チームビルディングの理解をさらに深めてもらうために、チームビルディングとチームワークの違いについてここで解説していきたいと思います。
一言で言えば、チームワークは組織力と関係力の2つの力で組織やチームを運営すること、チームビルディングは人材力と組織力と関係力の3つの力で組織やチームを運営することです。
例えば行政の仕事を想像して頂けばいいかもしれません。あのような仕事では、個人がそれぞれ強みを発揮することよりも、与えられた仕事を決まった仕方で着実に進めることが求められます。
つまり、チームワーク型の会社や組織が悪いわけではなく、言われたことを言われた通りやってくれさえすればよいという会社を作るのであれば、チームワーク型の会社を作っていけばいいということです。
チームワーク
チーム
ビルディング
新卒採用そして
若手の離職防止について
20代、30代前半の方の多くは自分のキャリアを、現在の40才台や50才台が若いころに比べて、今まで以上に真剣に考え捉える方が多い印象です。
彼らがチームワーク型の会社に入社した場合、どう思うでしょうか?言われたこと、決まったことだけやっていればいい。そんな風に言われ続ければ、彼らは「ここでは成長できない」と実感するはずです。
だとすれば、離職していくのは自然の流れでもあります。優秀な若手ほど、その判断や見切りが早いわけです。
私たちコンサルタントは、経営者のそのような課題を踏まえて、今後の事業をどう進めていくのか?ビジネスモデルをどう変化させるのか?
その変化に合わせて組織をどう変化させていくのかを提案していかなければいけない時代になっているのだと思います。